Skinny Puppy - Mind: The Perpetual Intercourse

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Released Year:1986

Record Label:Nettwerk

 

Track Listing

  1.One Time One Place

  2.God's Gift (Maggot)

  3.Three Blind Mice

  4.Love

  5.Stairs And Flowers

  6.Antagonism

  7.200 Years

  8.Dig It

  9.Burnt With Water

10.Chainsaw

11.Addiction (Second Dose)

12.Stairs And Flowers (Too Far Gone)

13.Deep Down Trauma Hounds (Remix)

 

 2ndアルバム。製作中にBill Leebが脱退し、代わりにDwayne Goettelが加入(まだ作曲には不参加)。前作までに見せていたシンセポップ的なキャッチーさは後退し、一気に凶暴な音へと変貌しています。ビートも時々引き攣ったようにつっかかる複雑なもので、早くも踊らせることに興味がなくなった模様。同時にOgreのヴォーカルもSAN値が下がってきており、発狂したような激しいシャウトが目立つようになりました。特に#2なんて物凄い迫力。"死神オーガさん"が頭角を現していますね。


 さらに特筆されるのが#1,8などにおけるギターの導入。いわゆるメタルギターではありませんがその音は十分に鋭角的で、随所で効果的に使われています。こういうのを聴いていると、EBM界隈でよく耳にする「(ミニストリー出現まで)ギターの導入は禁じ手だった」というのは、それこそミニストリーがメタル化した以降から言われるようになったのではと思ったりします。初期インダストリアル勢だって(ノイズ発生源として)ギターは使っていたわけですし。その延長線上にあるパピーやNumbは、クラフトワーク等の影響が強いFront 242などと違って、あまり「エレクトロニック命!」とかそういうことは考えてない気がします。


 閑話休題。難点を挙げるとすれば、個人的には中盤が少し中弛みするかなと。やや音がとっ散らかっているというか、実験性が先行しすぎてしまった部分があるように思います。この辺はまだまだ試行錯誤の途中といったところでしょうか。

 

 実験と言えば、全体的にエスニックな旋律やパーカッションが多いのも本作の特徴。やけにチャカポコいってます。あと、#5,8を筆頭としてヒップホップ的なリズムの導入が目立ちます。こういった"非エレポップ"なリズム感を足がかりにして、その後の複雑怪奇な痙攣ビートを習得していったのではないでしょうか。こういうところも何となくNINの1stに影響を与えてそうな気もしますが、これ以降あまりこういったアプローチは無いですね。


 ちなみに、NINがパクったことで有名な#8は、CD化に合わせて12’バージョンに差し替えられています。その後LP収録のオリジナル版は1度もCD化されなかったため、かえってこちらがレア化するという妙な事態に。このバージョンは海外のファンの間では"Raw Version"などと呼ばれているらしく、今ではネット上で普通に聴くことができます。正直な話、CD化されないのも納得な出来ではあったりしますが...。


 加えて、CD化に際してシングルB面曲などのボートラが4曲追加されていますが、なぜか3rdアルバムからのシングル曲も含まれています。これらについては初期シングルをまとめた「12 Inch Anthology」を紹介する時に触れることとしましょう。

 

Pick Up!:#2「God's Gift (Maggot)」

 オーガさんの発狂ボイスが堪能できるという点ではこれ以上ない最高の1曲。中盤のタイトル連呼とかもう溜め息が出ます。緩急を付けながらもバシンバシンと追い打ちをかけてくるドラムも素敵。凶悪さを増していった後期の曲と比べても遜色がなく、またそれを裏付けるようにライブでもよく披露されていました。