Skinny Puppy - Bites

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Released Year:1985

Record Label:Nettwerk

 

Track Listing

  1.Assimilate

  2.Blood On The Wall

  3.Dead Lines

  4.Church

  5.Icebreaker

  6.Tomorrow

  7.Dead Doll

  8.Film

  9.Love

10.The Choke

11.Social Deception

12.Christianity

13.Basement

14.Last Call

15.Falling

16.The Centre Bullet

17.One Day

 

 一応こちらが1stアルバム。FLAを立ち上げる前のBill Leebが在籍していたのはこの頃です。この作品は発売当初からカナダ盤LP、ベルギー盤LP、カセットと、3つのフォーマットによって収録曲・曲順が異なっており、これらをすべて網羅するような形(さらに未発表曲も追加)でCD化されたため、結果的にCDでは全17曲というすごいボリュームになってしまいました*1。如何せん実験的かつ地味なインスト曲が多いので、アルバムを聞き通すとどうしても散漫に感じてしまうのが正直なところ...​。

 とはいえ歌もののクオリティは十分高く、#1、#10などは今でもライブの定番曲です。実験曲での試行錯誤が反映されたのか、前作に比べると少しだけ音がシリアスかつ複雑になり、シンセポップからEBMと呼べる域に変化している印象を受けます。特に#3は、ストイックで硬質なリズムと、サビで唸りを上げるヴォーカルが癖になる1曲。そういうわけで、私はいつもLP盤準拠の曲順(全8曲程度になる)でプレイリストを作って聴いています。気分によってカナダ盤からベルギー盤に変えてみたりね。

 あと、#6,8,12,16,17といったインスト曲は、パピーとは思えないほどおとなしいアンビエントな雰囲気で、水の中を漂うような流麗なシンセが堪能できます。個人的な見立てですが、このcEvin Keyが作り出す美しいメロディが気に入った人は、本家Skinny Puppyに留まらず、cEvin Keyが手がけるサイドプロジェクトの数々を好きになれる人だと思います。

 

 "Remission"と同じく、全盛期の彼らの音を期待する人には合わないかと思いますが、黎明期のEBMに関心がある人、Skinny Puppyの歴史を知りたい人にはお勧め。

 

Pick Up!:#16「The Centre Bullet」

 この曲は、サイドプロジェクトであるThe Tear Gardenの同名曲(86年発表)のインストバージョン。もともとこの時期に録音されたアウトテイクを基に、Edward Ka-Spel*2のヴォーカルを加え、The Tear Gardenで発表したということなのでしょう。ホラー要素皆無などころか清涼感すら漂う曲調は彼らとしては異質ですが、これが個人的に超お気に入り。

*1:当初は"Remission"と抱き合わせで云々...といった話はこちらhttps://giesl-ejector.hatenablog.com/entry/2018/06/10/210000に書いた通り。こういったゴタゴタもCD登場以前の音源に特有のものですね。

*2:The Legendary Pink Dotsというグループのヴォーカリスト。The Tear GardenはTLPDとSPのコラボです。