以前紹介したコラボバンド、TRIALの片割れがやっているインダストリアルメタルバンドのアルバム。これがTRIALに負けず劣らず素晴らしい快作でした。ザラザラとしたノイズ交じりのギターサウンドはTRIALと同じですが、速さ重視のスラッシュというよりはミッドテンポのオルタナっぽいリフが多い印象。こういう音はすぐにGODFLESHと結びつけられそうだけど、どちらかと言えばジャスティンが昔ドラムを叩いてたHead Of David*2の音に近い気がしています。タイトル曲#3の疾走感と王道なギターリフ*3が鬼カッコいいので是非これだけでも聴いてみて欲しいところ。
相も変わらず精力的に活動を続けるクルップス、今回は丸ごとカバーアルバムです。元ネタはやはりEBM中心かと思いきや、QueenやBlue Öyster Cult等、本人たちが少年時代に聞いていたであろうグループまで引っ張り出してきたりと、なかなか多彩。基本はいつものクルップス節なボディ色に染め上げられていますが、Gang Of Fourのカバーではアンディ・ギルの"あのギター"をかなり忠実に再現しているのが面白いです。しかもドラムはKJのポール・ファーガソン(!)。
JD Twitch主宰の復刻専門レーベル「Optimo Music Archiv」より、初期KK Recordsに所属していたベルギーのEBM/ニュービートユニット、The Force Dimensionがリマスター再発されていました。前に当ブログで紹介したFatal Morganaにも似たベルジャン・ニュービートで素晴らしい内容ですので、こちらも是非。
Electronic Body Music、略してEBM。80年代後半から90年代前半にかけて勃興したこのジャンルを一言で説明するのはとても難しいのですが、個人的には「テクノみたいなロック、もしくはロックみたいなテクノ」と解釈しています。すなわち、「無機質で強迫的なビート」「ブリブリと肉感的なシンセベース」「ざわざわしたダミ声ボーカル」「各種ノイズや金属音」といったパーツを駆使して、"80年代まで"のエレポップやテクノポップよりも"凄み"を効かせた電子音楽。結果、テクノというには生々しいし、ロックというには電子的すぎる…*1という不思議なジャンルが誕生したわけです*2。
こちらのアルバムもタイトル通りのダークな作風ですが、この曲は若干ダンサブルかつキャッチーで取っ付きやすいかと。偏執的に作り込まれた独特のサウンドスケープは、かのNine Inch NailsやMarilyn Mansonが直接的に引き継いだとも云われています。更に90年代以降のEBM/インダストリアル界隈はもちろんのこと、DeftonesやKoЯnといったニューメタル系からもリスペクトを集めるなど、後世への影響の大きさは計り知れず。まさに知られざる暗黒帝王と言えるでしょう。
記憶が衰える前に😱 MUSIUM(1983/15歳/Sy)→ROSE(1984/Vo)→ZODIAC(Vo)→ジャンヌダルク(bs)→餓鬼道(1987/dr)→DEF MASTER(gt)→GULT DEP(1989)→SUB SONIC(1991/Victor)→SUB SONIC FACTOR(1991/SONY)→Groovy Boy Friend(1992/P.C)→RAVEMAN(1993/avex)→FB(1995年/avex)→move(1996/avex) https://t.co/jGi56FmRUO
⑤ NARASAKI氏率いるバンド、COALTAR OF THE DEEPERS(COTD)*2のファンサイト。最近存在を知ったのですが、バンドメンバーの来歴、ディスコグラフィ、ライブデータ、掲載誌に至るまで、すべてを網羅的にまとめている凄まじいサイトです。1つのグループについてここまで徹底した調査・データ収集を行い、きちんとした形に仕上げる熱意には頭が下がるばかり*3。もちろんDef.Masterについても記述があり、今回の変遷表を作る際も参考にさせていただきました。特にライブデータを追っていくと、Numb、Swamp Terrorists、Foetusの前座を歴任したデフの凄さがよく判ります。
日本のインダストリアルメタルバンドの2rdアルバム。今作ではオリジナルメンバーだったEBUが脱退し、基本的にはYU-MI一人のユニットとなっています。その他いくつかの曲では、ギターでNARASAKI(Coalter of the Deepers)と藤田タカシ(Doom)、ベースでHIROKI(Media Youth)、ドラムでSHIGEO(Crawfish)、プログラミング&アシスタントでMURAYA(Trance Noise Machine)…という面々が参加している模様。細かく見ていくと、#1,2,4,6は上記のバンドメンバーで、そのほかの曲はYU-MI氏が1人で録音しているようですね。
高速マシンビートでゴリ押しする曲が目立った前作に比べると、やや音楽性に拡大・深化が見られるのが本作の特徴。特にYU-MI氏の単独製作である#3,5では、テクノ的要素がより前面に出てきており、アンビエント的なシーケンスにゴリゴリのベースと砂嵐ノイズギター、そしていつものデス声が被さるという新境地を見せてくれます。1stの頃からエレクトロニクスの比重は大きかった彼らですが、背景音が明確にテクノっぽくなるだけでここまで印象が変わるのか…と驚かされることしきり。ダンサブルな#3などは、ローゼンクロイツ時代の曲"Once Upon A Time"の進化系ともいえるかもしれません。
その他バンド録音の4曲は前作を踏襲した作りですが、比較的音の分離が良く輪郭がはっきりしていた前作と比べ、音が塊となって飛び込んでくるような印象を受けます。音質が悪くなったというより、細かいノイズやサンプリングがギターリフの間にも綿密に織り込まれることで、全体的に情報量が増えたというか。どうもYU-MI氏のインタビューを読むと、1stの時点でこういう音にしたかったのが、マスタリングの段階でノイズ成分が除去されて不本意な仕上がりになってしまったので、今回はそのリベンジ…ということのようです*2。特に#1は前作の1曲目"Are You In"のリメイク版的な曲で、スピード感はそのまま、ギターレスのガバテクノからヘヴィなリフ主体の構成に変貌。同じサンプリング音を使用していても印象がかなり異なります。
このように着実な変化を示した一方で、全ての障害物をなぎ倒しながら暴走していくような独特の疾走感・初期衝動が減退したのは否めない印象があります。ミッド~スローテンポの曲も、ダンサブルな#3以外はそこまで…という感じもあるのがちょっと残念。ダレ気味の#5については、Ministyの「The Dark Side Of The Spoon」を先取りしたかのような妖しさが垣間見えるのが一周回って興味深いですが。あとは先述の音質の変化についても、パキッとした1stかモコっとした2ndか、この辺り好みが別れそうです。
80年代の彼らのライブ音源には、本作以外にもう1つ「Ecstacy Under Duress」というアルバムが存在しますが、あちらは82~83年の録音ということで「Beating The Retreat」からの曲が中心。したがって、彼らの代表作であり最もテンションが高かった「The Unacceptable Face Of Freedom」前後の公式ライブ音源はこれが唯一です。そういう意味でマニアにとっては見逃せないアイテム。
中身はまさに、全盛期のTest Dept.の迫力を見事に切り取った内容となっています。やはりこの人たちの音楽性はライブの方が映えるというか、演者のボルテージが高まるようですね。特に後半3曲の迫力は、スタジオ音源を遥かに凌駕していますし、全7曲・40分とコンパクトなのも個人的によし。こういう音楽性で延々70分とか聴かされてもこっちが疲れてしまうので…(オイ)。選曲の面でも、自主製作カセット*3から2曲、「Beating The Retreat」から3曲、「The Unacceptable Face Of Freedom」から2曲とバランスが取れています(欲を言えば、これに"Compulsion"が加わっていれば完璧だった…)。