Blok 57 - Blok57

  The KlinikやDiveでの活動で知られるDirk Ivensと、ベルジャンEBMユニット: Vomito Negroの初期メンバーだったGuy Van Mieghemの2人によって結成された、Blok 57の1stアルバム。

 

 このDirk Ivensという人、同時期のDive名義では後のリズミック・ノイズにつながるような激烈ビートインダストリアルを奏でていましたが、このBlok 57では比較的真っ当なEBMをやっております。今作はLeæther StripやPsychopompsをはじめ、ダークなEBM・インダストリアルメタルのグループを多数擁していたZoth Ommogからのリリースということで、それも頷けるところ。

 

 基本的にはKKレコード時代のVomito NegroやInsekt*1の延長線上にある音という感じで、地を這うような重苦しさを内包した硬派なEBMです。よく言えばハードでストイック、悪く言えば地味で愛想無し…といったところ。時々ハーシュノイズが顔をのぞかせるあたりもDirk Ivensの息を感じます。とはいえ絶対零度・強迫観念まみれのDiveに比べればわりと躍動的でポップですが。

 

  Joy Divisionの"Isolation"と並んでEBM界隈のクラシックとして人気がありそうな、The Normal=ダニエル・ミラーのカバー#4*2や、この人たちには珍しく(当時流行りの)インダストリアルメタルに目配せをしたような#8などもあり、マニアックながらなかなか捨て置けないアルバムです。個人的には肉厚なハンマービートとメタパーの掛け合いが楽しい#3がお気に入り。とにかくDiveやVomito Negro、Insektが好きな方なら問題なくハマれる音でしょう。無駄にレア化しているので、見つけたらマストバイです。

  

Released Year:1992

Record Label:Zoth Ommog / Cleopatra

 

Track Listing

  1. Nerve Damage
  2. There's Nothing Real
  3. Fuck You
  4. Warm Leatherette
  5. This Is Not America
  6. Hypnosis (Dubmix)
  7. Burn Baby Burn
  8. Blok 57
  9. Homecoming
10. Crush (Softmix)

 

 Pick Up!:#9「Homecoming」

 本レビューのために聴き直していて気付いたんですが、これDiveの「We Rule The World」ですね。歌詞は違うものの節回しとリズムがそっくり。Vo.もDirk IvensのハーシュボイスなのでDiveをそのままEBM化したような雰囲気です。意識的にセルフカバーしたのか単なる手癖なのか何とも言えないところですが…。

*1:こちらも元Vomito NegroのメンバーがやっていたEBMバンドです。

*2:Pankowのカバーが有名ですね。