2020年までは純粋にその年購入したものを列挙していましたが、2021年は13枚ぐらいは買ってたのでその中から抜粋で。何とか年度末には間に合わせた…(間に合ってはいない)
①Valuemart - Alice Underground
Daisと並び気焔を上げるベルリンのダークウェイブ系レーベル、Detriti Recordsよりデビュー作。以前紹介したWisteriaにも通ずる"泣き"のダークウェイブですが、このグループはやや生音多めのバンドサウンド寄りな音楽性です。#1のタムの使い方などはモロに「Pornograhy」の頃のキュアーのそれ。ジャケのイメージも心なしか似てる?
②Choke Chain - Endless Death / Invoking Shadows
米国ウィスコンシン州を拠点とするハーシュEBMユニットの2ndEPと3rdEP。デビューは2020年ですから、1年半ほどの間にEPを3枚となかなか精力的に活動しています*1。その方向性は一貫しており、まさにLeaether Stripの再来と言っても過言ではないダーク・エレクトロ系のボディを鳴らしていて好感が持てます。まだアレンジの幅に物足りない部分はあるものの、90年代に跋扈した有象無象のダーク・エレクトロ系よりは遥かにハイテンションで良質な仕上がり。去年はBlack MagnetというKlute直系のフォロワーが出現して歓喜に震えていましたが、続いて本家レザストのフォロワーまで現れるとは思っても見ず、主に私だけ盛り上がっております。今後の活動が楽しみですね。
③Donna Haringwey - Venal
ベルリンを拠点に活動する1人ユニットのデビューミニアルバム。アムステルダムのStrange Therapyというレーベルからのリリース。これがSkinny Puppy+Foetus+Danny Elfman+ダブステップ…みたいな恐ろしい代物です。パピー(というよりサイドPのDownloadに近いかも)特有の変則ビートとノイズに、ジムフィータスを思わせるハイテンションで気色悪い金切り声が重なる異様さは、もはや圧巻通り越して絶句。そのうえ、聴きやすい捻れたポップ感すら備えているという絶妙なバランス感覚。#1 "Confused Johnny"や#4 "Funky Moolah"の撥ねたボディビートと強烈なヴォーカルチョップのコンボを是非体感してほしいですね。21年で一番衝撃的だった作品。
※この記事を書いてる間に、21年9月にフルレングスが出ていたことに気付きました。これから聴きます…
④Primitive Knot - Fight The Future
以前紹介したコラボバンド、TRIALの片割れがやっているインダストリアルメタルバンドのアルバム。これがTRIALに負けず劣らず素晴らしい快作でした。ザラザラとしたノイズ交じりのギターサウンドはTRIALと同じですが、速さ重視のスラッシュというよりはミッドテンポのオルタナっぽいリフが多い印象。こういう音はすぐにGODFLESHと結びつけられそうだけど、どちらかと言えばジャスティンが昔ドラムを叩いてたHead Of David*2の音に近い気がしています。タイトル曲#3の疾走感と王道なギターリフ*3が鬼カッコいいので是非これだけでも聴いてみて欲しいところ。
⑤DIE KRUPPS - Songs From The Dark Side Of Heaven
相も変わらず精力的に活動を続けるクルップス、今回は丸ごとカバーアルバムです。元ネタはやはりEBM中心かと思いきや、QueenやBlue Öyster Cult等、本人たちが少年時代に聞いていたであろうグループまで引っ張り出してきたりと、なかなか多彩。基本はいつものクルップス節なボディ色に染め上げられていますが、Gang Of Fourのカバーではアンディ・ギルの"あのギター"をかなり忠実に再現しているのが面白いです。しかもドラムはKJのポール・ファーガソン(!)。
⑥TRIAL - COLOURVOID
PKが新譜出したと思ったら、こっちも待望のフルレングスが出ました。#1こそデビューEP同様にバリバリのスラッシュメタルですが、それ以降(特に#2と#7)よりニューウェイブ的でメロディアスというか、音にまろみが出てきた感じです。最初はちょっと戸惑ったんですが、聴いてるうちにこれはこれでアリ…と思うようになりました。この"ハード・ニューウェイブ"みたいなサウンドはKilling Jokeの「Democracy」辺りに近いものがあるかも。頑なにデス声でメロディ歌おうとするところとか。
⑦Tayne - Coherent EP
ロンドン出身の1人ユニットのEP。リミックスにJesuが参加していることからも窺えますが、シューゲ的な浮遊感・透明感とハードコア・インダストリアル的な激しさを併せ持つタイプのサウンドです。クリーントーンかつ線の細いVo.も印象的。この手の音は個人的にそこまでピンと来ないことが多いのですが、本作はタイトル曲#3のスピード感が気に入って購入。Jesuのリミックスもオリジナル以上に泣きメロ全開でよし。
⑧V.A. - Unification Of Harsh Realities Vol.1
Bandcampを彷徨っていてたまたま見つけたレーベル、N.I.M Tapesのコンピ。スコットランドのハーシュEBM系レーベルらしいのですが、全然情報が無くて謎。9曲目のEthan Fawkesが、ガバテクノを思わせる高圧的なビートとメタパーを織り交ぜた最高な音を鳴らしていたので購入。インスト系が多い中ヴォーカルがしっかりあるのも高ポイントです。ほかのグループもChoke ChainやVomito Negroを想起させるOld School Harsh EBMでたいへんよくできております。
⑨Noise Unit - Deviator
クルップスと並び精力的に活動を続けるFLAですが、ここに来てまさかのNoise Unit復活。しかしPIGのレイモンドワッツ参加と聞いて、"例のジンクス"が頭をよぎりもしましたが、蓋を開けてみると…まぁ可もなく不可もなくといったところでしょうか。またしてもDAFのカバーか?と一瞬疑ってしまうようなタイト感のある#2や、ワッツ参加でギターまで登場し完全にKMFDM/PIG化している#5などは緊張感があってgood。ただアルバム後半がダレ気味なのが惜しい。それでもFLAの「Mechanical Soul」よりは全然良いです。
⑩Vomito Negro - Entitled
2010年に復活してから早10年目を迎える、ベルジャンEBMの重鎮(デビューは85年)による新作。本作は80年代のアウトテイクを基に、わざわざ当時使っていた機材(アナログシンセ)でリアレンジ・再録音をしたものだそうで。とはいえ復活後の作風は良くも悪くも金太郎飴状態なので、本作も安心して聴けるダークなEBM/ニュービートに仕上がっています。同期のベテランたちがサウンドを現代風にアップデートしていく中、生きた化石の如くスタイルを変えない(それでいてクオリティを維持している!)彼らの存在は本当に貴重。22年夏には新作もリリース予定とのことで、これからも末永く頑張ってもらいたいですね。
その他にもFLA、Youth Code、Pop. 1280の新作も購入してましたが、個人的にはそこまでピンと来なかったなぁ…というのが正直な所。Pop. 1280については曲単位では気に入ったものもあったので、もう少し聴き込んだら評価が変わるかもです。
※オマケ
JD Twitch主宰の復刻専門レーベル「Optimo Music Archiv」より、初期KK Recordsに所属していたベルギーのEBM/ニュービートユニット、The Force Dimensionがリマスター再発されていました。前に当ブログで紹介したFatal Morganaにも似たベルジャン・ニュービートで素晴らしい内容ですので、こちらも是非。