Cop Shoot Cop - Ask Questions Later
Released Year:1993
Record Label:Interscope, Big Cat
Track Listing
1.Surprise, Surprise
2.Room 429
3.Nowhere
4.Migration
5.Cut To The Chase
6.$10 Bill
7.Seattle
8.Furnace
9.Israeli Dig
10.Cause And Effect
11.Got No Soul
12.Everybody Loves You
13.All The Clocks Are Broken
14.Untitled
ニューヨーク出身のノイズロック/ジャンクバンドの3rdアルバム。このバンドはヴォーカル兼ベース、ベース、サンプラー、ドラムス、という4人組で、ギターは不在という変則的なバンド構成が特徴です。
彼らは90年代初頭のアンダーグラウンドシーンでは結構な人気と勢いを持っていたようで*1、その活動が目に留まったのか本作でメジャーデビュー。契約先はNINも抱えるInterscopeです。ちょうど"インダストリアルロック"がブームになっていた頃ですし、ポスト・NINとなりうるバンドを探していたのかもしれないですが、明らかに契約するグループを間違えてるとしか思えないチョイス。バンド側もレーベルの思惑などどこ吹く風で、いい意味で全然メジャーらしくないアングラな音を鳴らしています(自分はこれ以前の作品を聴いたことが無いので比較はできませんが...)。
パッと聴いた限りではフィータスを連想させる部分も多くあり、時折挿入されるホーンやオーケストレーション、ヴォーカルのダミ声などに共通点を見出すことができます。しかしあちらほど狂騒的な勢いやスピード感は無く、ツインベースを生かしたミッドテンポ中心のアプローチで、強烈なグルーヴを聴かせてくれます。うねりまくるベースに、連打されるメタルパーカッションやサンプリングノイズもあいまって、非常に野生的で泥臭い印象。ギターレスであることをほとんど感じさせない濃密さです。
ヴォーカルもがなり一辺倒ではなく、#2や#13ではややメロディアスな面も覗かせます(でも声はダミ声のまま)。また歌詞の方もなかなか冷笑的で、特に#12の内容には思わず肯いてしまいます。誰かが死んだ途端に手のひら返したように騒ぎ出す人々の存在や、それに対して感じる胡散臭さって日本だけの感覚じゃないんですね。
ただ、時々挿入される1分程度のインスト曲が、アルバム全体の流れや勢いを断ち切っている印象があり、そこはマイナスかなと。ピアノを使った#9とかは嫌いじゃないんですが、こういうのもあまり多すぎると良くないですね。あと、ヴォーカルのモッサリしたメロディがかなりイモっぽいというかアクが強く、ここは好みの別れどころかもしれません。この点に関してはNYアンダーグラウンドのバンド全般に言えることだと思いますが...。ProngとかHelmetもそうですけど、なんでこの辺のバンドのヴォーカルって妙にモッサリしてるんですかね。
とはいえ、FoetusやSwansなど、インダストリアル/ジャンク系のバンドは入手困難なものが多い中、ありがたくもメジャー配給だったおかげで入手は容易です。よくブックオフの500円コーナーに落ちてるので、気になった方は手にとってみても損はないかと。
Pick Up!:#2「Room 429」
陰鬱さ漂うメロディが耳に残るシングル曲。サンプラーによるコーラスの声もあいまって非常に重苦しい雰囲気なのですが、なぜか妙に癖になるんですよね。実際彼らのキャリアの中ではそこそこヒットしたようです。コミュニケーション不全をテーマにしたとおぼしきPVも印象的。後にStrapping Young Ladがカヴァーしたバージョンの方がよく知られているかもしれません。
*1:実は90年頃に来日もしており、その時はライブハウスの天井にベースを突き刺すほどの暴れっぷりだったとか。