Killing Joke - What's This For...!
Released Year:1981
Record Label: EG
Track Listing
1.The Fall Of Because
2.Tension
3.Unspeakable
4.Butcher
5.Follow The Leaders
6.Madness
7.Who Told You How?
8.Exit
イギリスのポストパンクバンドの2ndアルバム。
衝撃のデビュー作で見せた路線を踏襲しつつ、彼ら特有の「呪術的なビート」が完成をみた1枚。執拗にタムを強調したドラスティックなドラミングが、前作の単調さを払拭しつつ楽曲に緊張感を与えています。当時のイギリスではこうしたトライバルなビートが流行っていたようで、多くのバンドが似たような路線を打ち出していましたが、彼らの音はずば抜けて直情的でダンサブルな仕上がりになっていると思います。理性よりも本能に直接訴えかける音といいますか、考える前に勝手に体が動き出すようなリズム感。場違いなほどファンキーなベースも合わさり、強烈なグルーブを生み出しています。
では体育会系なノリかというとそこは英国育ち、一貫して不安を煽るダークな仕上がりです。シンプルながら不穏な空気を作り出すシンセサイザー、油切れの錆びた鋸を挽くようなギター、そしてJaz Colemanの狂気をはらんだヴォーカルが一体となり襲い来るその様は、何か世界の歯車が狂ってしまったような、不吉な前兆を感じさせる異様な雰囲気。当時のJaz Colemanはアレイスター・クロウリーを始めとするオカルトな思想に傾倒していたらしく、冷戦による緊張感もあいまって終末思想が強く表われているように思います。もう世界おしめぇだしとりあえず踊るしかねぇべや!みたいなノリでしょうか(雑)。コラージュで構成された不気味なアートワークも、中身の音に忠実で良いですね。
そして既に各所で指摘されている通り、ここで提示された「呪術的なビート+金属的なギターノイズ」という方法論は、そのまま後のインダストリアルメタルの雛形となり、後発のグループに大きな影響を与えることとなりました。よく知られているのはMinistryのAl Jourgensenで、以前当ブログでご紹介したPailheadと本作を聞き比べれば、いかにその影響力が大きいかが分かるでしょう。アルさんの場合はKilling Jokeの追っかけをしていたほど熱心なファンだったようです。
後世への、特にオルタナ方面への影響という意味では1stが取り上げられることの多い彼らですが、個人的にはこちらが初期の最高傑作。クラブでかけようものなら、一瞬でフロアを未開のジャングルに変えてしまうこと請け合いです。爆音で原初のリズムを楽しみましょう!
Pick Up!:#3「Unspeakable」
ひたすらドコドコと反復するドラムに主張の激しいベースライン、神経を煽り立てるギターと、当時のKJらしさを全て詰め込んだ至高の1曲。順々に楽器を重ねていくイントロも王道ですが格好いい。あとベルギーの音楽番組に出演した際のライブ映像も、口パク&当てフリながらジャズさんの狂気が全面に出てて必見です(黒塗りメイクが怖い)。ていうかよく放送したなコレ。