3rdアルバム。前作発表後、Dave HalとBlair Dobsonが抜け、新しいヴォーカルとしてConan Hunterが加入。2人組のユニット体制になりました。このアルバムからベルギーのKK Recordsと契約しており、以後しばらくはヨーロッパでのリリースをKKが持つことになります。アメリカではRe-constriction Recordsからリリースされました。
このアルバムを一言で表すとすれば、EBM・メタル・そしてリズミックノイズの三位一体。#1から暴走気味のビートと音圧のおかしいノイズに度肝を抜かれ、そのまま流れるようにダンサブルな#2へ。この2曲だけで完全に持ってかれます。その後も、変則的な曲展開を織り交ぜた中速ビートを基本に、嵐のようなノイズとサンプリングが唸り、邪悪なヴォーカルが呪詛を吐き捨てる悪夢的な世界が展開されます。その様はまるで、火山からあふれ出るマグマか、あるいは溶鉱炉で溶けた鉄のよう。ドロドロしてて、触れたもの全てをじわじわと焼き尽くしていくような、そんなイメージ。使っている音は無機質なのに、ネガティブな人間味に溢れているというか、強烈な負の感情を感じる音です。
また、随所で歪んだギターノイズも導入され、攻撃的な雰囲気の構築に一役買っています。Skinny Puppyの6thや7thのように、もはやEBMの範疇に収めておくのが馬鹿馬鹿しくなるようなサウンドですね。元々このグループは、EBMらしからぬ特有のダイナミクスというか、「静から動への極端な転換」を持ち味としていたところがありますが、その路線が完成されたのがこのアルバムだと思っています。
#6のようにギターが前面に出た比較的とっつきやすい曲もありますが、全体的にはへヴィな内容なので、やや聴く人を選ぶかも。難解というよりも、アルバム1枚聴き通すとその悪意に圧倒されぐったり...といった感じ。しかし、彼らの最高傑作と称される本昨、マスターピースであることは間違いありません。ぶっ壊れた音に飢えている人には超お勧めです。私は何度も聴いてるうちに耳が麻痺(Numb)してきて、最近ではこれぐらい壊れてないと満足できなくなってしまいました。もうダメかもしれない。
Released Year:1993
Record Label:KK Records, Re-constriction Records
Track Listing
1. Violence
2. Hole
3. Curse
4. Trial
5. Painless
6. Right...
7. Shithammer
8. A Dead Place
9. Decay Of The Angel
10. Headcrash
11. Fugue
12. Revenant
Pick Up!:#7「Shithammer」
アルバム中盤のハイライトであり、今作中最も怨念に溢れた1曲。文字通りハンマーの如く、1音1音を叩きつけて来るような重厚なビートが堪能できます。あと個人的に、ヴォーカルの「シシシシィッッットハマー!」の引きずるような吐き捨て方がイイ! 気分が最低な時のBGMとしてこれ以上のものはありません。