Blue Eyed Christ - Leaders + Followers

f:id:giesl-ejector:20210219212556j:plain


 ロサンゼルス出身のEBM/インダストリアルロックユニットの1stアルバム。90年代に残したのはこの1作だけでそれきりかと思いきや、2000年以降もちらほらとアルバムを出しており、2020年にも新作をリリースしている貴重な現役組です。中の人はThrill Kill KultのGroovie MannとTrash Deityというユニットをやっていたり、最新作ではKMFDMのEn Eschをゲストに招いたりと、「そっち方面」とも交流がある様子。

 

 本作はベルギーのEBM系レーベルであるKK Recordsからのリリースということで、US出身ながら同時期の米国のEBMグループとはやや違う雰囲気があります。重量感のあるマシンビートや線の細いディストーションギターの使い方はRevolting Cocksのそれなんですが、そこに乗っかるウワモノのシンセはひんやりとした冷たい質感で、Front 242やA Split Secondのようなベルジャンニュービートを連想したり。そしてVo.はTKKを思わせるキンキン声というなかなか面白い取り合わせです。アメリカンなEBMとヨーロピアンなEBMの良いとこどり、みたいな。

 

 全体的にB級な垢抜けなさはあるものの、各曲のクオリティは粒揃いです。曲ごとのカラー付けも、性急で直線的なボディの#2、高圧的なメタパーを配置した#7、スリリングなシンセベースとクワイアの使い方がダンジョンBGMっぽい#8等なかなか多彩で、アルバムを通じて一本調子にならないよう工夫されています。如何せん所属レーベルがマイナーだったせいで日の目を見ていない*1感じですが、仮にWax Trax!から出ていればもう少し名を残せたんじゃないかという気も。Revolting CocksやTKKが好きな人は一聴の価値あり!な内容です。

 

Released Year:1991

Record Label:KK Records

 

Track Listing

  1. Intro
  2. Surrender
  3. Angesls
  4. Crucifixion
  5. Catch My Fall
  6. Addicitive
  7. I'm Falling
  8. Land Of Hypocrisy
  9. Spiritualism
10. Angels (Reprise)

 

Pick Up!:#5「Catch My Fall」

 横ノリの重厚なビートが気持ちいいシングル曲。終始ミッドテンポながら、本作の中では最もキャッチーな曲かも。特に、サビで出現するオーロラのようなシンセサイザーの使い方が堪りません。「Catch my fall, Save us all」という歌詞にも、どこか初期NIN的・欧州的な繊細さ(情けなさともいう)と哀愁があって、米国産EBMのマッチョさとは一線を画していますね。つくづくアメリカ出身らしくなくて面白いユニットだなと。

*1:あとは購買意欲を削がれるこのダサジャケも要因の1つかな…。