V.A. - The Digital Space Between
Released Year:1994
Record Label:Hard Records
Track Listing (Artist - Track title)
1.Front 242 - Modern Angel (KMFDM Remix)
2.THD - Hypo (Bitcomm Mix)
3.Contagion - Turn Of The Screw
4.Dive - In The Glasshouse
5.Skinny Puppy - Scrapyard
6.Leæther Strip - Adrenalin Rush (Vegger Version)
7.Numb - Ratblast
8.Vomito Negro - L.A.T. (Living Apart Together)
9.Cubanate - Body Burn (Julian Beeston 7" Mix)
10.Clock DVA - Hacked (Reprogrammed III)
11.Swamp Terrorists - Pale Torment (Convert Single Remix)
12.Die Krupps - Paradise Of Sin
13.Insekt - Digging In Your Soul (Insekt Remix)
14.Bigod 20 - The Bog (Shot Mix)
15.Naked Apes - Leave Me Alone / SMF
16.Templebeat - Interzone (M. Lega Mix)
90年代には様々なレーベルからこの手のボディ系コンピが乱発されましたが、その内容に関しては如何せん玉石混合というか、ものによってかなり当たり外れが激しい印象があります。現在のように手軽に試聴できない環境で、CD裏の名前だけで買ったりして痛い目を見た人も多かったのではないでしょうか。特に米Cleopatraの出すコンピは粗製乱造という言葉がぴったりな状況で、「だいたいいつもメンツが同じ」「曲のチョイスが微妙」「安定したジャケのダサさ」といった共通項を見出すことが出来ます(以上、後追いがDiscogsを眺めていて抱いた感想)。
しかし今回紹介するこのアルバム、そんな有象無象を吹き飛ばすクオリティの高さを誇っています。まずメンツが豪華。さすがにNINやMinistry等の超A級に比べれば知名度は一段劣りますが、Die KruppsやSkinny Puppyをはじめ、オリジナルアルバムでも十分に聴かせる秀逸な作品を残しているグループが大集結しています。そして何より1曲1曲のクオリティが高い。確かに既発曲も多いのですが、どの曲も安定して緊張感をキープしており、聴いていてダレることがありません。
ボディ路線を保ちつつ音を分厚くして凄みを利かせる者(#3,13,16)、ハードコアテクノやトランスに接近する者(#6,11,14)、EBMとメタルの融合を目指す者(#7,8,9)と方向性は様々ですが、どのグループも"EBMをベースにしつつ"次の一手に進もうとしている、という印象を受けます。当時はNINの台頭によりオルタナ/ロック方面からインダストリアルへの参入が盛んになっていた時代。ムーブメントの終焉に伴い、EBM出身のグループがどのような変容を図っていたのか、まるでカンブリア紀生命大爆発*1のような放散具合を楽しむことが出来ます。逆に言えば、この先が続かずにフェードアウトしてしまったグループも...この辺が"EBM上がり組"にとっては限界だったのかもしれません。
ちなみにこのコンピ、好評を博したためかは知りませんがシリーズ化され、Vol.2とVol.3が出ています。しかしVol.2以降、発売元が件のCleopatraに変わってしまったため、少々パッとしない印象に...(試聴しただけで買っていない)。
さらに豆知識。ここでしか聴けない音源は#2,7,8,13,16の5曲。特に#7は表記がありませんが、4thアルバム"Wasted Sky"収録版とは別バージョンになっており、Numbファンとしては見逃せないところです*2。個人的にはアルバム版よりも攻撃的で好き。
100%Electronicで純粋なEBMよりも、ボディ・テクノ・メタルのクロスオーバー、変節の過程を楽しみたい人向けです。1つの世代が終わる前の、最後で最高の輝きをご堪能あれ。
Pick Up!:#16「Templebeat - Interzone (M. Lega Mix)」
インダス界隈では珍しいイタリア出身のバンド。オリジナルアルバムではもう少しメタリックな方向性が強いのですが、この曲は超ボディ。"Caustic Grip"の頃のFLAが持っていた強迫神経症なビートを極限まで追求したような仕上がりになっています。キリキリと刺さるような神経質なシンセと、これでもかと叩き込まれる高圧的なキックのコンボは最強です。必聴!