2wo - Voyeurs

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Released Year:1998

Record Label:Nothing Records

 

Track Listing

  1.I Am A Pig

  2.Stutter Kiss

  3.Water's Leaking

  4.My Ceiling's Low

  5.Leave Me Alone

  6.If

  7.Deep In The Ground

  8.Hey, Sha La La

  9.Wake Up

10.Gimp

11.Bed Of Rust

12.In My Head *日本盤ボーナストラック

 

 "メタルゴッド"としてその名を轟かせるRob Halfordが、Judas Priestを脱退している間にやってたバンド。Nothing Recordsからのリリースということで、Trent ReznorがExecutive Producer**1としてクレジットされています...というのはつまり、実質トレントさんは製作に関与していないということなんですが。だって当時(1998年)のトレントさんといえば、世界中から寄せられる期待に押し潰されながら、毎日ピアノの前で「僕はもうダメだ...」と絶望感に打ちひしがれてた頃ですし(こらこら)。というわけで、実際のプロデュースはマンソンその他でおなじみDave Ogilvieが担当してます。

 

 で、このアルバム、メタラー/インダストリアリスト双方からすこぶる評判が悪いです。検索すると酷評するレビューがもう山のように(苦笑)。実際セールス面では惨敗し、バンドはこれ1枚で自然消滅しています。中身としては、Judas Priestの影も形もないRobの爬虫類ボイスに、メタルというよりはグランジを思わせるギター、ゴスっぽいけど妙に浮遊感のある空間処理...あれ、この感じどこかで?となる人はそういないと思いますが、要はこれ、スマパンです。具体的には、"The End Is The Beginning Is The End"のハードギター+ゴス・ニューウェーブな路線で1枚アルバムを作ったらというか、ドラマーが脱退せずに"Adore"を作ったらこんな感じだったのでは...という音(意味が分からない人は"スマッシング・パンプキンズ アドア"で検索して下さい)。

 

 というわけで、特にメタルに拘らない私としては結構好きなアルバム。まぁつまらない曲もいくつかあるんですが、聴く価値なし!と一刀両断するほど悪くはないのでは。Rob HalfordおよびTrent Reznorの名前に惹かれた人には肩透かしかもしれませんが、スマパンとかオルタナ系が好きな人にはわりとお勧め。ちなみに、#5ではなんとSPKをサンプリングしています*2。メタルゴッドがSPKを知っていたとは思えないので、Dave Ogilvieの趣味じゃないかと勝手に推測。

 

 そうそう、クレジット面もなかなか興味深いです。まずプロデューサーがDave Ogilvieということで、Skinny Puppy人脈からAnthony ValcicとPhil Westernがキーボード・ドラムプログラミングで参加してます。特にPhil WesternはDwayne Goettelと共にSubconscious Communicationsを立ち上げた人で、ソロ名義でもDownloadとかそっち系(どっち系?)の音を鳴らしてます。あとギターとベースはJohn LoweryもといJohn 5。後にマンソンに引き抜かれ、全盛期を支えるメンバーとして活躍するのはあまりにも有名ですね。

 

Pick Up!:#3「Water's Leaking」

 ダークなメロディと陰鬱な歌詞で、文字通り水の中に沈んでいくような気分に浸れます。元メタル畑の人がオルタナやインダスに手を出す場合、どうしても落ち目になるせいで歌詞がネガティブになるケースが多い気がするんですが、そういう所も気に入ってます。聴いてて波長が合うというか。

*1:レコード会社の代表とかに付けられるクレジット。日本語だと"製作総指揮"的なニュアンスらしい。

*2:1st収録の"Berufsverbot"から。