Cabaret Voltaire - The Original Sound Of Sheffield '83 / '87. Best Of;

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Released Year:2001

Record Label:Some Bizzare, Virgin

 

Track Listing

  1.Just Fascination (12" mix)

  2.Crackdown (12" mix)

  3.Dream Ticket (12" mix)

  4.Sensoria (12" mix)

  5.James Brown (12" mix)

  6.Kino (12" mix)

  7.I Want You (12" mix)

  8.Don't Argue (John Robie Extended Version)

  9.Here To Go (Kevorkian Extended Mix)

10.Thank You America (Kevorkian Bonus Beats)

 

 Throbbing GristleSPKと並び"インダストリアル御三家"と称されるCabaret Voltaire(通称キャブス)のベスト盤。彼らの音楽性は時期によって大きく異なりますが、これはタイトル通り、83年から87年にかけての12インチシングルをまとめたもの。

 

 初期の彼らは Stephen Mallinder、Richard H. Kirk、Chris Watsonの3人組で、この頃はノイズやコラージュを中心とした音楽性でした。その後、82年にChris Watsonが脱退しHafler Trioというノイズユニットを立ち上げ。残された2人はよりファンキーかつダンサブルな方向性を志向していきます。しかし、この路線変更はノイズ界隈から"セルアウト"と見なされ非難轟々だったそうで...。近年では比較的再評価も進んでいるような印象がありますが、当時は国内メディア上でも完全に黒歴史扱いされていたようです。

 

 このアルバムはそんなセルアウト期(苦笑)の音源集ということで、ノイズというよりはエレクトロファンク/プレEBMです。#5のようなそのまんまなタイトルもあったりしますが、一般的なファンクよりはもっと冷めた音。ノイズ期に習得したサンプリング技術を駆使しつつ、リズムボックスを強調した造りでクールに踊らせます。特に#4で聴ける重厚なビートは後のEBMに繋がるものを感じたり。このアルバムの後に初期のSkinny PuppyやFLAを聴くと、いかに彼らがキャブスに影響を受けているかが分かるでしょう。

 

 強いて言えば、12" mixの集合体ということで7分超えの曲ばかりが並んでおり、アルバムとしての体裁を為しておらず聴き通すとダレることが難点でしょうか。でもこの時期の代表曲を揃えてあり、かつシングルでしか聴けなかった(=アルバム未収録)バージョンを集めてあるのでとてもお得。特にAdrrian Sherwoodが関わったアルバム"Code"期の音源はEMIとの版権絡みで入手が困難になっており、そこからのシングルが手軽に聴けるという意味でも貴重です。中期キャブスの入門編として是非。

 

Pick Up!:#9「Here To Go (Kevorkian Extended Mix)」

 #8、#10と共にAdrrian Sherwoodがプロデュースで参加。抑え気味の曲調で派手さはないですが、重いドラムと女声コーラスがいい感じです。でも「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のパチモンみたいなPVは正直ダサい。めっちゃドヤ顔でカメラ目線キメてくるStephen Mallinderを見てると、「こりゃセルアウト言われても仕方ないな...」と思ってしまいます()